TCP輻輳制御(FreeBSD版)
目次
TCP輻輳制御とは
TCPに限る話では無いが通常、通信を行い、一方(主にサービスプロバイダ側)に通信が集中するようになると混雑が起きる。 最初期(1980年台初頭)のTCPには輻輳制御(Congestion Control - cc を見たら Congestion Control の略と思え!)が無かったため、 混雑は加速度的に悪化することが判明していた(らしい)。
このTCPに「輻輳制御アルゴリズム」による通信(頻度等)制御を行うことで、混雑を押さえる仕組みができあがった。 とはいえ、時代に合わせた輻輳制御アルゴリズムが提案されていて、理想的で決定的なアルゴリズムが存在しないこともあり、 度々新しいアルゴリズムが提案されているのが現実である。
FreeBSDでは伝統的に4.4BSD由来のNewReno輻輳制御を採用しており、デフォルトとなっている。 FreeBSD9からは輻輳制御アルゴリズムの整理、モジュール化が実施されており、開発および設定が簡略化されている。
FreeBSD11以降ならとりあえず設定しておけ
FreeBSD11.0のリリースは2016年10月10日。
/boot/loader.conf
cc_dctcp_load="YES"
/etc/sysctl.conf
net.inet.tcp.cc.algorithm=dctcp
手動で切り替え
kldload cc_dctcp sysctl net.inet.tcp.cc.algorithm=dctcp
※アルゴリズムの入れ替えなのでオンザフライで変更可能である。再起動は不要。
コメント
- DC-TCPアルゴリズム使用にあたってECN(Explicit Congestion Notification - 明示的輻輳通知)の設定が必要であるが、11.0-Rからはデフォルトで有効となっている。
- 下記コマンドでの設定値を確認しておくこと(デフォルトで2である)。
sysctl net.inet.tcp.ecn.enable
- この設定は以下の通りである。
- 0:ECN機能の無効化
- 1:ECN機能の有効化(送受信時/クライアントおよびサーバーユース)
- 2:ECN機能の有効化(受信時/サーバーユース)
- 積極的にECN機能を利用するなら、1に設定しよう。
/etc/sysctl.conf
net.inet.tcp.ecn.enable=1
FreeBSD8.3以降ならとりあえず設定しておけ
なお、
- FreeBSD8.3のリリースは2012年04月18日。
- FreeBSD9.0のリリースは2012年01月12日。
/boot/loader.conf
cc_vegas_load="YES"
/etc/sysctl.conf
net.inet.tcp.cc.algorithm=vegas
手動で切り替え
kldload cc_vegas sysctl net.inet.tcp.cc.algorithm=vegas
※アルゴリズムの入れ替えなのでオンザフライで変更可能である。再起動は不要。
OS事情
OS |
バージョン |
デフォルトアルゴリズム |
オプションアルゴリズム |
備考 |
FreeBSD |
全バージョン |
NewReno |
なし |
|
FreeBSD |
8.3(9.0) 以降 |
NewReno |
HD, CHD, Cubic, H-TCP, Vegas |
|
FreeBSD |
9.2 以降 |
NewReno |
HD, CHD, Cubic, H-TCP, Vegas, CDG |
|
FreeBSD |
11.0 以降 |
NewReno |
HD, CHD, Cubic, H-TCP, Vegas, CDG, DC-TCP |
|
Linux |
2.6.19 以降 |
Cubic |
未調査 |
|
Windows |
Vista 以降 |
NewReno |
C-TCP |
|
Windows |
8 以降 |
C-TCP |
NewReno |
|
Windows Server |
2008 以降 |
C-TCP |
NewReno |
|
Windows Server |
2012 以降 |
DC-TCP |
NewReno, C-TCP |
|