1と13のリビジョン間の差分 (その間の編集: 12回)
2021-02-11 23:15:38時点のリビジョン1
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2021-02-13 17:19:33時点のリビジョン13
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行 2: 行 2:
以下の環境にFreeBSD 13.0-RELEASEをインストールする。 FreeBSD 13.0-RELEASEをインストールしてみる。
本記述は13.0-BEATA1時点での内容であるが、13.0がリリースされた後、微調整
する。
行 8: 行 9:
   * ほとんどのクラウド環境では変更不可能か、変更が困難であるため
   * 物理環境では変更しやすいし、メンテナンス性も高いが、設定の統一性から見なかったことにする。
   * 高度な物理環境では、内部時間と表示時間(タイムゾーン情報を有す)を変えられるものもてきたので、昔ほどJSTにこだわらなくてもよい。
   * ほとんどのクラウド環境では本設定を変更することができないか、極めて困難である。
   * 物理環境では変更しやすいし、メンテナンス性も高いのだが、設定の統一性から見なかったことにする。
   * よく出来た物理環境では、内部時間と表示時間(タイムゾーン情報を有す)を変えられるものもてきたので、昔ほどJSTにこだわらなくてもよい。
 * CPUについては特に明記しないし、1コアからでも使用できるが、2コア以上をお勧めしたい。
   * 使用する用途に応じてCPU数や動作周波数、アーキテクチャを選ぶこと。
   * 基本的には「時間」に影響出るが、投入したリソースに応じて反比例(少ないと時間がかかる、多いと時間が短縮される)する。
行 12: 行 16:
   * カツっカツにチューニングすれば512MBでも動作するが、その後何もできない。
   * FreeBSD本体のビルドに6GBは必要なので、3GBや2GBだとスワップアウトがキツイ。
   * カツっカツにチューニングすれば512MBでも動作するが、その後はあまりできることが少ない。
   * FreeBSD本体のビルドに6GBは必要なので、3GBや2GBの環境だとスワップアウトがキツイ。
行 16: 行 20:
 * インストール先メディア(ストレージ)に応じてデバイス名を読み替えること。今回、ここでは vtbdn(n≧0) を使用する。
   * ada: SATA接続のHDDおよびSSD
   * da: USB/SAS/SCSI接続の(マスストレージ)HDDおよびSSD
   * nvd: NVMe接続SSD
   * mmscd: eMMC(内蔵メモリカード)
   * vtbd: バーチャルI/Oストレージ(QEMU、BHyVe環境他)
   * xbd: Xen準仮想化ドライバ(Xen環境)
 * 搭載ストレージもできれば50GB以上は欲しいところ。
   * 30GB程度では一通りのセットアップで埋まってしまう程度の容量なので、大きめに欲しいところ。
   * 用途にもよるがログ保存等を考慮すると100GB程度あれば安心である。
* インストール先メディア(ストレージ)に応じてデバイス名を読み替えること。今回、ここでは vtbd''n''(''n''≧0) を使用する。
   * ada''n'': SATA接続のHDDおよびSSD
   * da''n'': USB/SAS/SCSI接続の(マスストレージ)HDDおよびSSD
   * nvd''n'': NVMe接続SSD
   * mmscd''n'': eMMC(内蔵メモリカード)
   * vtbd''n'': バーチャルI/Oストレージ(QEMU、BHyVe環境他)
   * xbd''n'': Xen準仮想化ドライバ(Xen環境)

== 設定目標 ==
行 29: 行 38:
   * ブートパーティション: BIOS環境=1KB弱、UEFI環境=200MB    * ブートパーティション: BIOS環境=12KB弱、UEFI環境=200MB程度
行 33: 行 42:
 * またパーティション境界を可能な限り「各種」境界を考慮して割り当てるが、とりあえず1MB境界を目指す。
   * 最初は1ブロック512バイトであるが、
 * スワップについてメモ:
   * スワップはおおよそ「搭載メモリの2倍」で確保だが、一定量を超えると使用しなく(て良いように)なるため、この辺りで打ち止めしておくのがよい。
   * またどれほど搭載メモリが多くてもゼロスワップ運用はお勧めしない。
   * カーネルがメモリのガベージコレクトする時にスワップを使用することがあるので、巨大な連続領域を確保できなくなることがありうる。
 * またパーティション境界を可能な限り「各種」境界を考慮して割り当てることを目指す。とりあえず1MB境界で設定する。
   * 1ブロック512バイトが最小単位であるが、
行 37: 行 50:
   * HDD SMRのブロック単位(256MB)を考慮し結果    * HDD SMRのブロック単位(256MB)を考慮しての結果
行 39: 行 52:

== インストール目標 ==
以下のパーティション構成を組む。

||||||||||<#777777> BIOSブート環境 ||
   * SMRの256MBについては、実運用とのバランスを考えると考慮に値しなくてよい(OS用に使うべきで無い)。
   * SSDのページ、ブロックの単位は大容量化にともない大きくなっていくので、この数字が正しいとは限らない。
 * UFSブート、ZFSルート構成についてのメリットとデメリット。
   * 構造がシンプルでないので若干の小細工が必要。
   * インストーラーからインストールできないので、全ての手順でコマンドを叩く必要がある。
   * その代わりブートローダーがZプールの最新に対応してなくてよいので安心してアップグレードができる。
   * ZFS領域の暗号化(GELI)が可能。
 * ZFS領域とスワップ領域については暗号化を施す。
   * ブート時点からセキュアでは無いが、セキュアブートの仕組みが今のところ確立されてないので、この辺りが限界。
   * クラウド環境でセキュアブートの仕組みが提供されていることがないので、頑張る余地があるか微妙。
   * 逆にクラウド環境では暗号化の仕組みが用意されているのでそちらを利用すること。
   * 個別に本手順を実施する分には問題無いが、イメージそのままでデプロイすると、同じ暗号化鍵を使ったイメージがコピーされるのでよろしい運用では無い。
 * TRIM/UNMAPに最適化する。`sysctl kern.geom.disk.デバイス名.flags` を実行して `CANDELETE` の表示があれば、TRIM/UNMAPに対応している。

== インストール設定 ==
以下のパーティション構成を組む。ブート環境に応じて選択する。

||||||||||<#BBBBBB> BIOSブート環境 ||
行 45: 行 71:
|| - || GPTヘッダー || Protected MBR ブート || 32 ブロック  || UEFIブート環境では使用しない。またエントリ数(128)は変更しない(起動しない ||
|| - || フリー領域 || 境界補正 || 8 ブロック  || 次のパーティションの開始を4KB境界に補正する(無い環境もある)。
||
|| 1 || freebsd-boot || BIOS用FreeBSDブート領域 || 984 ブロック  || UFS領域を512KB境界に補正するためのサイズを指定。                             ||
|| - || GPTヘッダー || Protected MBR ブート || 40 ブロック  || UEFIブート環境では機能しない。機能しないので設定してもかまわないが、お勧めしない。 ||
|| 1 || freebsd-boot || BIOS用FreeBSDブート領域 || 984 ブロック  || UFS領域を512KB境界(ブートローダーの仕様制限)に補正するためのサイズを指定。 ||
行 51: 行 76:
||||||||||<#777777> UEFIブート環境 || ||||||||||<#BBBBBB> UEFIブート環境 ||
行 53: 行 78:
|| - || GPTヘッダー || Protected MBR ブート || 32 ブロック  || UEFIブート環境では使用しない。またエントリ数(128)は変更しない(起動しない)。 ||
|| - || フリー領域 || 境界補正 || 8 ブロック  || 次のパーティションの開始を4KB境界に補正する(無い環境もある)。
||
|| 1 || uefi || UEFI領域(FAT32フォーマット) || 409560 ブロック  || UFS領域を200MB境界に補正-40ブロックサイズを指定       ||
|| 2 || freebsd-ufs || UFS領域(/boot として使用) || 8388608 ブロック  || 4GBフルサイズを指定(自動的に境界配置となるため)。 ||
|| 3 || freebsd-zfs || ZFS領域(/ として使用) || ※都度計算※ || スワップを 2048 ブロック(=1MB)境界に補正するためのサイズを指定。      ||
|| - || GPTヘッダー || - || 40 ブロック  ||                                                                    ||
|| 1 || uefi || UEFI領域(FAT32フォーマット) || 409560 ブロック  || UFS領域を200MB境界に補正するめに-40ブロックほどサイズを調整。 ||
|| 2 || freebsd-ufs || UFS領域(/boot として使用) || 8388608 ブロック  || 4GBフルサイズを指定(境界配置されてるため)。     ||
|| 3 || freebsd-zfs || ZFS領域(/ として使用) || ※都度計算※ || スワップを2048ブロック(=1MB)境界に補正するためのサイズを指定。 ||
行 60: 行 84:
 * `freebsd-boot` パーティションのサイズ制限は [[https://www.freebsd.org/cgi/man.cgi?gpart(8)|gpart(8) のマニュアル]] の `BOOTSTRAPPING` 節に記述がある。
 * BIOSおよびUEFIどちらの環境でもブート可能な構成ができると思われるが未検証。上記表からブート領域を両方採用して、両方設定すればイケルはず。
 * GPTエントリ数(デフォルト128)は変更しない。変更すると起動しないことが [[https://www.freebsd.org/cgi/man.cgi?gptboot(8)|gptboot(8)]] と [[https://www.freebsd.org/cgi/man.cgi?gptzfsboot(8)|gptzfsboot(8)]] のマニュアルに記載がある。
行 62: 行 89:
OS起動後になるが、以下のコマンドで環境を確認できる。 OS起動後になるが、以下のコマンドで環境を確認できる。実際にインストール時に確認すること。
以下はある環境での実行結果である。

{{attachment:check-list-environment.png||width="50%",height="50%"}}
行 65: 行 95:
{{{
sysctl machdep.bootmethod
}}}

この時「BIOS」と表示されればBIOSブート環境、「UEFI」とあればUEFIブート環境である。

=== ディスク一覧 ===
{{{
geom disk status
}}}

ディスク一覧が表示される(この時 Status と Components が N/A となるのは無視して良い)。
下記は実行例であるが、下記の例の場合、インストール先メディアを選ぶこと(mmcsd0 または ada0)。
行 66: 行 110:
sysctl machdep.bootmethod
}}}

この時「BIOS」とあればBIOSブート環境、「UEFI」とあればUEFIブート環境である。

=== ディスク一覧 ===
{{{
geom disk status
}}}

ディスク一覧が表示される(この時 Status と Components が N/A となるのは無視して良い)。
下記は実行例であるが、インストール先メディアは選ぶこと(mmcsd0 または ada0)。

{{{#!highlight console numbers=disable
# geom disk status
root@:~ # geom disk status
行 88: 行 118:
=== 時刻 ===
{{{
=== TRIM/UNMAP対応の確認 ===
{{{
sysctl kern.geom.disk.デバイス名.flags
}}}

先に確認したインストール先メディア(デバイス)に対して上記コマンドを実行する。`CANDELETE` の表示があれば、対応している。

=== 時刻およびCMOSクロックのタイムゾーンの確認 ===
{{{
sysctl machdep.wall_cmos_clock
行 93: 行 131:
=== 起動時チューニング ===

=== ランタイムチューニング ===

== 検証環境 ==
`sysctl machdep.wall_cmos_clock` の結果が0であること。`date` の結果が日本時間から9時間前で「UTC」を含むこと。

= インストール =

== インストールメディアの入手 ==
 * [[https://download.freebsd.org/ftp/releases/ISO-IMAGES/13.0/|Index of /ftp/releases/ISO-IMAGES/13.0]]より、`FreeBSD-13.0-amd64-disc1.iso` というISOイメージファイルをダウンロードする。
   * 今回 amd64 環境、いわゆる x86_64 環境にインストールするものとする。
   * arm64 と名称が似ているが、こちらは arm64-aarch64 環境と別物なので注意。
   * また dvd1 ではなく disc1 である。幸い dvd1 は disc1 を内包しているので、無駄を承知で使用してもよい。
   * その代わり bootonly では必要なものが足りないので、ネットにアクセスできる必要がある(ここでは詳細を取り上げない)。
 * このISOイメージをCDメディアとして認識させる。
   * 物理的にはもちろん、CD-Rに焼いてもかまわない。
   * 個人的には [[https://www.hagisol.co.jp/products/usb_cdmemory2/|Hagiwara Solutions 社製 CD Memory2]] の使用をお勧めする。
   * 入手性については [[https://online.plathome.co.jp/|ぷらっとオンライン]] が一番確実である。
   * ISOイメージの書き込みに専用ソフト([[https://www.hagisol.co.jp/download/cd_memory/cdm2_writer/|CDM2 Writer]])を必要とするが、
   * 読み取り処理はCDROMドライブのエミュレーションしか行わないので、非常に互換性が高い。
   * 似たようなハードは売られているので、使い慣れた物を使用しても問題無い。

== インストールメディアの起動とコンソールへ ==
ISOイメージからシステムがブートすると下記の画面が表示される。表示されない場合は起動順序に問題がある(ほぼこれ)、認識してない(挿入ミス、接続されてないなど、希に)ので確認する(確認手順は難しいのでここでは省略)。
10秒カウントダウンの後、OSが起動するので、その前に「3」を押す。あるいはスペースキーを押すとカウントダウンが止まる。

{{attachment:beastie-on-boot.png||width="50%",height="50%"}}

3を押すと下記のようにプロンプトが表示されるので、

{{attachment:prompt-on-boot.png||width="50%",height="50%"}}

以下のコマンドを入力して起動する。

{{{
set hint.psm.0.disabled="1"
set kern.geom.label.disk_ident.enable="0"
boot
}}}

 * `hint.psm.0.disabled`: PS/2マウス(USB接続ではない)の識別(1秒かかる)を止める。
 * `kern.geom.label.disk_ident.enable`: `gpart show` を実行したときに同じストレージをラベルで参照することを止める(二重表示になる)。

{{attachment:setting-on-boot.png||width="50%",height="50%"}}

環境によっては、下記の追加設定を実施しても良い。ただしキー入力を受け付けなくなることがあるので、要動作確認のこと。

{{{
set hint.atkbdc.0.disabled="1"
set hint.atkbd.0.disabled="1
}}}

今時のハードウェアだと、この手のレガシー(PS/2接続)デバイスのエミュレーションが甘い(遅い等)ことがあるので、可能な限り積極的に設定してみることをお勧めする。

{{attachment:start-bsdinstall.png||width="50%",height="50%"}}

上記画面が表示されるので、「`<Live CD>`」を選択(カーソルキーで→に移動、エンターキーを押す)する。

{{attachment:start-console-login.png||width="50%",height="50%"}}

ログインプロンプトが表示されるので「`root`」を入力してエンターキーを押す(パスワードは無い)。

== コマンド操作によるインストール作業 ==

先に情報収集が成されているものとして以下のコマンドを実行する。

=== パーティションを切る ===
BIOSブート環境の場合、以下の手順でパーティションを切る。

{{{#!highlight shell numbers=disable
gpart destroy -F vtbd0
gpart create -s GPT vtbd0
gpart add -t freebsd-boot -s 984 vtbd0
gpart add -t freebsd-ufs -s 8387584 vtbd0
gpart add -t freebsd-zfs -s `gpart show vtbd0 | awk '/- free -/{ st = $1; sz = $2; sw = ( 8 * 1024 * 1024 * 1024 ) / 512; aln = ( 1 * 1024 * 1024 ) / 512; sz -= sw; sz -= ( st + sz ) % aln; print sz }'` vtbd0
gpart add -t freebsd-swap vtbd0
}}}

UEFIブート環境の場合、以下の手順でパーティションを切る。

{{{#!highlight shell numbers=disable
gpart destroy -F vtbd0
gpart create -s GPT vtbd0
gpart add -t uefi -s 409560 vtbd0
gpart add -t freebsd-ufs -s 8388608 vtbd0
gpart add -t freebsd-zfs -s `gpart show vtbd0 | awk '/- free -/{ st = $1; sz = $2; sw = ( 8 * 1024 * 1024 * 1024 ) / 512; aln = ( 1 * 1024 * 1024 ) / 512; sz -= sw; sz -= ( st + sz ) % aln; print sz }'` vtbd0
gpart add -t freebsd-swap vtbd0
}}}

=== ファイルシステムをフォーマットする ===
TRIM/UNMAP対応の場合、以下の手順でフォーマットする。

{{{#!highlight shell numbers=disable
newfs -U -j -E -t /dev/vtbd0p2
}}}

TRIM/UNMAPに未対応の場合、以下の手順でフォーマットする。

{{{#!highlight shell numbers=disable
newfs -U -j /dev/vtbd0p2
}}}

更にUEFIブート環境の場合、以下の手順でフォーマットする。

{{{#!highlight shell numbers=disable
newfs_msdos -F 32 -c 1 -L EFISYS /dev/vtbd0p1
}}}

=== フォーマットしたらファイルシステムをマウントしてディレクトリを準備する ===
以下の手順を実施する。

{{{#!highlight shell numbers=disable
mount -t ufs /dev/vtbd0p2 /mnt
mkdir -p /mnt/boot/efi
}}}

更にUEFIブート環境の場合、以下の手順を実施する。

{{{#!highlight shell numbers=disable
mount -t ufs /dev/vtbd0p2 /mnt
mount -t msdosfs /dev/vtbd0p1 /mnt/boot/efi
mkdir -p /mnt/boot/efi/EFI/BOOT
}}}

=== パーティションを暗号化(GELI)する ===
ZFSパーティションにGELIで暗号化を施す。


=== ブートローダーをインストールする ===
BIOSブート環境の場合、以下の手順で。
UEFIブート環境の場合、以下の手順で。

= インストール後初期設定 =

= 参考文献 =
 * [[https://www.freebsd.org/releases/13.0R/announce/|FreeBSD 13.0-RELEASE Announcement]]
 * [[https://www.freebsd.org/releases/13.0R/relnotes/|FreeBSD 13.0-RELEASE Release Notes]]
 * [[https://www.freebsd.org/cgi/man.cgi?adjkerntz(8)|adjkerntz(8)]] ※CMOSクロックの取り扱いに関するマニュアル
 * [[https://www.freebsd.org/cgi/man.cgi?gpart(8)|gpart(8)]] ※パーティションの取り扱いに関するマニュアル
 * [[https://www.freebsd.org/cgi/man.cgi?gptboot(8)|gptboot(8)]] ※`freebsd-boot` パーティションにインストールするブートローダ(UFS専用)に関するマニュアル
 * [[https://www.freebsd.org/cgi/man.cgi?gptzfsboot(8)|gptzfsboot(8)]] ※`freebsd-boot` パーティションにインストールするブートローダ(ZFS専用)に関するマニュアル

FreeBSD13のインストール

FreeBSD 13.0-RELEASEをインストールしてみる。 本記述は13.0-BEATA1時点での内容であるが、13.0がリリースされた後、微調整する。

前提条件

  • CMOS(BIOS)クロックのタイムゾーンをUTCとする。
    • ほとんどのクラウド環境では本設定を変更することができないか、極めて困難である。
    • 物理環境では変更しやすいし、メンテナンス性も高いのだが、設定の統一性から見なかったことにする。
    • よく出来た物理環境では、内部時間と表示時間(タイムゾーン情報を有す)を変えられるものも出てきたので、昔ほどJSTにこだわらなくてもよい。
  • CPUについては特に明記しないし、1コアからでも使用できるが、2コア以上をお勧めしたい。
    • 使用する用途に応じてCPU数や動作周波数、アーキテクチャを選ぶこと。
    • 基本的には「時間」に影響出るが、投入したリソースに応じて反比例(少ないと時間がかかる、多いと時間が短縮される)する。
  • 搭載メモリはできれば4GB以上にしておきたい。
    • カツっカツにチューニングすれば512MBでも動作するが、その後はあまりできることが少ない。
    • FreeBSD本体のビルドに6GBは必要なので、3GBや2GBの環境だとスワップアウトがキツイ。
    • これはC++のコンパイル負荷によるものなので、搭載メモリが少ない環境でのビルド(サードパーティ製含む)は諦めた方がよい。
    • 良好に使用するなら8GB以上は欲しいところではある。
  • 搭載ストレージもできれば50GB以上は欲しいところ。
    • 30GB程度では一通りのセットアップで埋まってしまう程度の容量なので、大きめに欲しいところ。
    • 用途にもよるがログ保存等を考慮すると100GB程度あれば安心である。
  • インストール先メディア(ストレージ)に応じてデバイス名を読み替えること。今回、ここでは vtbd≧0) を使用する。

    • ada: SATA接続のHDDおよびSSD

    • da: USB/SAS/SCSI接続の(マスストレージ)HDDおよびSSD

    • nvd: NVMe接続SSD

    • mmscd: eMMC(内蔵メモリカード)

    • vtbd: バーチャルI/Oストレージ(QEMU、BHyVe環境他)

    • xbd: Xen準仮想化ドライバ(Xen環境)

設定目標

  • 全てGPTパーティション(領域)で組むものとして、BIOSまたはUEFI環境での起動を前提とする(マルチブートは考えない)。
    • BIOSまたはUEFIがブート用に認識するパーティション
    • /boot 用パーティション(UFSで構成する)
    • / 用のパーティション(ZFSで構成する)
    • スワップパーティション
  • またこの時以下のサイズを割り当てる。
    • ブートパーティション: BIOS環境=512KB弱、UEFI環境=200MB程度
    • UFSパーティション: 4GB ※実用512KB・2倍の1GB程度はあった方がよい
    • ZFSパーティション: 残りサイズを計算して割り当て
    • スワップパーティション: 8GB ※搭載メモリの2倍で最大8GB程度に
  • スワップについてメモ:
    • スワップはおおよそ「搭載メモリの2倍」で確保だが、一定量を超えると使用しなく(て良いように)なるため、この辺りで打ち止めしておくのがよい。
    • またどれほど搭載メモリが多くてもゼロスワップ運用はお勧めしない。
    • カーネルがメモリのガベージコレクトする時にスワップを使用することがあるので、巨大な連続領域を確保できなくなることがありうる。
  • またパーティション境界を可能な限り「各種」境界を考慮して割り当てることを目指す。とりあえず1MB境界で設定する。
    • 1ブロック512バイトが最小単位であるが、
    • 4KBセクタードライブであったり、
    • SSDのページ単位(2KB~)・ブロック単位(128KB~)を考慮したり、
    • HDD SMRのブロック単位(256MB)を考慮しての結果。
    • 容量とのバランスで1MB程度にしておく。そのうち1GB単位にしてもいいかもしれない。
    • SMRの256MBについては、実運用とのバランスを考えると考慮に値しなくてよい(OS用に使うべきで無い)。
    • SSDのページ、ブロックの単位は大容量化にともない大きくなっていくので、この数字が正しいとは限らない。
  • UFSブート、ZFSルート構成についてのメリットとデメリット。
    • 構造がシンプルでないので若干の小細工が必要。
    • インストーラーからインストールできないので、全ての手順でコマンドを叩く必要がある。
    • その代わりブートローダーがZプールの最新に対応してなくてよいので安心してアップグレードができる。
    • ZFS領域の暗号化(GELI)が可能。
  • ZFS領域とスワップ領域については暗号化を施す。
    • ブート時点からセキュアでは無いが、セキュアブートの仕組みが今のところ確立されてないので、この辺りが限界。
    • クラウド環境でセキュアブートの仕組みが提供されていることがないので、頑張る余地があるか微妙。
    • 逆にクラウド環境では暗号化の仕組みが用意されているのでそちらを利用すること。
    • 個別に本手順を実施する分には問題無いが、イメージそのままでデプロイすると、同じ暗号化鍵を使ったイメージがコピーされるのでよろしい運用では無い。
  • TRIM/UNMAPに最適化する。sysctl kern.geom.disk.デバイス名.flags を実行して CANDELETE の表示があれば、TRIM/UNMAPに対応している。

インストール設定

以下のパーティション構成を組む。ブート環境に応じて選択する。

BIOSブート環境

パーティション番号

パーティション種別

用途

サイズ

注意

-

GPTヘッダー

Protected MBR ブート

40 ブロック 

UEFIブート環境では機能しない。機能しないので設定してもかまわないが、お勧めしない。

1

freebsd-boot

BIOS用FreeBSDブート領域

984 ブロック 

UFS領域を512KB境界(ブートローダーの仕様制限)に補正するためのサイズを指定。

2

freebsd-ufs

UFS領域(/boot として使用)

8387584 ブロック 

ZFS領域を1MB境界に補正するために、4GBに-512KB(ブート領域分)を指定。

3

freebsd-zfs

ZFS領域(/ として使用)

※都度計算※

スワップを 2048 ブロック(=1MB)境界に補正するためのサイズを指定。

4

freebsd-swap

スワップ領域(搭載メモリの2倍≦8GB)

16777216 ブロック~

8GB+補正分。

UEFIブート環境

パーティション番号

パーティション種別

用途

サイズ

注意

-

GPTヘッダー

-

40 ブロック 

1

uefi

UEFI領域(FAT32フォーマット)

409560 ブロック 

UFS領域を200MB境界に補正するために-40ブロックほどサイズを調整。

2

freebsd-ufs

UFS領域(/boot として使用)

8388608 ブロック 

4GBフルサイズを指定(境界に配置されてるため)。

3

freebsd-zfs

ZFS領域(/ として使用)

※都度計算※

スワップを2048ブロック(=1MB)境界に補正するためのサイズを指定。

4

freebsd-swap

スワップ領域(搭載メモリの2倍≦8GB)

16777216 ブロック~

8GB+補正分。

  • freebsd-boot パーティションのサイズ制限は gpart(8) のマニュアルBOOTSTRAPPING 節に記述がある。

  • BIOSおよびUEFIどちらの環境でもブート可能な構成ができると思われるが未検証。上記表からブート領域を両方採用して、両方設定すればイケルはず。
  • GPTエントリ数(デフォルト128)は変更しない。変更すると起動しないことが gptboot(8)gptzfsboot(8) のマニュアルに記載がある。

環境確認方法

OS起動後になるが、以下のコマンドで環境を確認できる。実際にインストール時に確認すること。 以下はある環境での実行結果である。

check-list-environment.png

ブート環境

sysctl machdep.bootmethod

この時「BIOS」と表示されればBIOSブート環境、「UEFI」とあればUEFIブート環境である。

ディスク一覧

geom disk status

ディスク一覧が表示される(この時 Status と Components が N/A となるのは無視して良い)。 下記は実行例であるが、下記の例の場合、インストール先メディアを選ぶこと(mmcsd0 または ada0)。

root@:~ # geom disk status
       Name  Status  Components
     mmcsd0     N/A  N/A
mmcsd0boot0     N/A  N/A
mmcsd0boot1     N/A  N/A
       ada0     N/A  N/A

TRIM/UNMAP対応の確認

sysctl kern.geom.disk.デバイス名.flags

先に確認したインストール先メディア(デバイス)に対して上記コマンドを実行する。CANDELETE の表示があれば、対応している。

時刻およびCMOSクロックのタイムゾーンの確認

sysctl machdep.wall_cmos_clock
date

sysctl machdep.wall_cmos_clock の結果が0であること。date の結果が日本時間から9時間前で「UTC」を含むこと。

インストール

インストールメディアの入手

  • Index of /ftp/releases/ISO-IMAGES/13.0より、FreeBSD-13.0-amd64-disc1.iso というISOイメージファイルをダウンロードする。

    • 今回 amd64 環境、いわゆる x86_64 環境にインストールするものとする。
    • arm64 と名称が似ているが、こちらは arm64-aarch64 環境と別物なので注意。
    • また dvd1 ではなく disc1 である。幸い dvd1 は disc1 を内包しているので、無駄を承知で使用してもよい。
    • その代わり bootonly では必要なものが足りないので、ネットにアクセスできる必要がある(ここでは詳細を取り上げない)。
  • このISOイメージをCDメディアとして認識させる。
    • 物理的にはもちろん、CD-Rに焼いてもかまわない。
    • 個人的には Hagiwara Solutions 社製 CD Memory2 の使用をお勧めする。

    • 入手性については ぷらっとオンライン が一番確実である。

    • ISOイメージの書き込みに専用ソフト(CDM2 Writer)を必要とするが、

    • 読み取り処理はCDROMドライブのエミュレーションしか行わないので、非常に互換性が高い。
    • 似たようなハードは売られているので、使い慣れた物を使用しても問題無い。

インストールメディアの起動とコンソールへ

ISOイメージからシステムがブートすると下記の画面が表示される。表示されない場合は起動順序に問題がある(ほぼこれ)、認識してない(挿入ミス、接続されてないなど、希に)ので確認する(確認手順は難しいのでここでは省略)。 10秒カウントダウンの後、OSが起動するので、その前に「3」を押す。あるいはスペースキーを押すとカウントダウンが止まる。

beastie-on-boot.png

3を押すと下記のようにプロンプトが表示されるので、

prompt-on-boot.png

以下のコマンドを入力して起動する。

set hint.psm.0.disabled="1"
set kern.geom.label.disk_ident.enable="0"
boot
  • hint.psm.0.disabled: PS/2マウス(USB接続ではない)の識別(1秒かかる)を止める。

  • kern.geom.label.disk_ident.enablegpart show を実行したときに同じストレージをラベルで参照することを止める(二重表示になる)。

setting-on-boot.png

環境によっては、下記の追加設定を実施しても良い。ただしキー入力を受け付けなくなることがあるので、要動作確認のこと。

set hint.atkbdc.0.disabled="1"
set hint.atkbd.0.disabled="1

今時のハードウェアだと、この手のレガシー(PS/2接続)デバイスのエミュレーションが甘い(遅い等)ことがあるので、可能な限り積極的に設定してみることをお勧めする。

start-bsdinstall.png

上記画面が表示されるので、「<Live CD>」を選択(カーソルキーで→に移動、エンターキーを押す)する。

start-console-login.png

ログインプロンプトが表示されるので「root」を入力してエンターキーを押す(パスワードは無い)。

コマンド操作によるインストール作業

先に情報収集が成されているものとして以下のコマンドを実行する。

パーティションを切る

BIOSブート環境の場合、以下の手順でパーティションを切る。

gpart destroy -F vtbd0
gpart create -s GPT vtbd0
gpart add -t freebsd-boot -s     984 vtbd0
gpart add -t freebsd-ufs  -s 8387584 vtbd0
gpart add -t freebsd-zfs  -s `gpart show vtbd0 | awk '/- free -/{ st = $1; sz = $2; sw = ( 8 * 1024 * 1024 * 1024 ) / 512; aln = ( 1 * 1024 * 1024 ) / 512; sz -= sw; sz -= ( st + sz ) % aln; print sz }'` vtbd0
gpart add -t freebsd-swap            vtbd0

UEFIブート環境の場合、以下の手順でパーティションを切る。

gpart destroy -F vtbd0
gpart create -s GPT vtbd0
gpart add -t uefi         -s  409560 vtbd0
gpart add -t freebsd-ufs  -s 8388608 vtbd0
gpart add -t freebsd-zfs  -s `gpart show vtbd0 | awk '/- free -/{ st = $1; sz = $2; sw = ( 8 * 1024 * 1024 * 1024 ) / 512; aln = ( 1 * 1024 * 1024 ) / 512; sz -= sw; sz -= ( st + sz ) % aln; print sz }'` vtbd0
gpart add -t freebsd-swap            vtbd0

ファイルシステムをフォーマットする

TRIM/UNMAP対応の場合、以下の手順でフォーマットする。

newfs -U -j -E -t /dev/vtbd0p2

TRIM/UNMAPに未対応の場合、以下の手順でフォーマットする。

newfs -U -j /dev/vtbd0p2

更にUEFIブート環境の場合、以下の手順でフォーマットする。

newfs_msdos -F 32 -c 1 -L EFISYS /dev/vtbd0p1

フォーマットしたらファイルシステムをマウントしてディレクトリを準備する

以下の手順を実施する。

mount -t ufs /dev/vtbd0p2 /mnt
mkdir -p /mnt/boot/efi

更にUEFIブート環境の場合、以下の手順を実施する。

mount -t ufs /dev/vtbd0p2 /mnt
mount -t msdosfs /dev/vtbd0p1 /mnt/boot/efi
mkdir -p /mnt/boot/efi/EFI/BOOT

パーティションを暗号化(GELI)する

ZFSパーティションにGELIで暗号化を施す。

ブートローダーをインストールする

BIOSブート環境の場合、以下の手順で。 UEFIブート環境の場合、以下の手順で。

インストール後初期設定

参考文献

FreeBSD/FreeBSD13-install (最終更新日時 2021-05-30 15:13:44 更新者 NorikatsuShigemura)